胸を開く

 今月のクラスは「胸を開く」ことをテーマとしています。今取り組んでいる「ラクダのポーズ」は、その形から、腰を反ることに注目しがちですが、大事なことは「胸を開く」ことです。試しに、胸を開かずにラクダのポーズをやってみましょう。上体を後方に少し倒したところでロックされてしまうことでしょう。そして考えてみてください。このロック状態のまま、腰だけ反ろうとしたり、頭を後方に傾けるとどうなるか。関節に大きな負担がかかり、怪我につながります。ですから、まずはある程度胸を開ける柔軟性が必要な、危険で難度の高いポーズなのです。

 スマホにパソコン作業、子どものうちからゲームと、現代人は、どんどんうつむきがちな姿勢になり、肩はすぼまり、肩甲骨は左右に広がり、猫背になり、頭は前に傾いています。すると胸を大きく開くことができなくなってしまうのです。長い年月をかけて、さびついて固まってしまった肩や肩甲骨、胸を開くことは、そんなに簡単なことではありません。ですから、まずは今の状況を確認しながら、急がずにマイペースで、行って頂きたいと思います。

 また、今月皆さんに感じて頂きたいことは、「胸を開く」ことは「呼吸を深める」ことにつながるということです。閉じた胸にはほんの少ししか空気を取り入れることができません。そんな方はご自分が、浅い、早い呼吸になっていることに気づきもしません。あるいは、ものすごくストレスをため込んでいる方は、いつも自分を守るために防御姿勢で、肩や胸まわりをかたくしています。過剰にりきんでいることに気づけずにいます。だからこそ、「胸をひらく」とはどういうことなのかを体感して頂きたいと思っています。

 そういう私も、実はラクダのポーズが苦手です。たぶん、本当に気持ちよく胸を開き、開放することができていないのだと思います。「心身一如」という言葉があるように、心と体はつながっています。私の 場合は、いわゆる「オープンハート」心を開くということが苦手なのだろうと、自己分析しています。心と体はつながっているのだなぁと思うと、本当におもしろいです。性格もあるので、それも個性と自分を認めつつ、でも、もっと胸を開き、心を開ければ、見える景色は、更に明るく広がるかもしれないと思います。だから、私も皆さんと一緒に、自分の体や心に寄り添いながら、今日も胸を開く練習をしたいと思います。