ゆうゆう通信No101「合掌の意味」

  「手のひらのしわとしわをあわせて幸せ」というコマーシャルが以前にありましたが、日本に住む私たちは小さな頃から、神社やお寺、お墓参り等、様々な場面で、手をあわせるという動作をしています。無宗教な私も、慣習として、あまり深く考えることもなく行ってきました。そこで、今回は、この「合掌」を、ヨガでは、どのようにとらえられているのかをお伝えしたいと思います。

  ヨガの「合掌」は、アンジャリ・ムドラーといって、特別な意味がある、手で形づくる「印(しるし)」です。ヨガでは、右手が大いなる自然や宇宙を示し、左手が人間や自分を示しているといわれます。右手と左手をあわせることは、自然や宇宙と一体化し、つながるという意味になるのです。また、太陽と月、陽と陰、プラスとマイナスというような相反するものをあわせて調和を保つという意味もあります。つまり「合掌」はヨガの目指すべきもの、そのものを表しているのです。

  また、胸の前で合掌することは、胸を開き、体を流れるエネルギーを循環させることができるともいわれています。心臓の鼓動や、呼吸に合わせて動く胸を感じることは、生命を感じるとともに、精神の安定や集中にもつながります。

  更には、「合掌」は、感謝と敬意を表すポーズでもあります。ここで私が重要だと思うのは、ヨガでは、「合掌」が人に対してだけでなく、内なる自分への感謝と敬意をも示すということなのです。だから、クラスを始める時に行う「合掌」は、今日も自分に向き合える時間をもてたことに感謝し、これからヨガを行なう自分に「お願いします」と挨拶するという意味があります。クラスの最後に行う「合掌」は、今日も気持ちよくヨガを行なえた自分に「ありがとうございました」と礼をする意味があるのです。そして、時を同じくして一緒にヨガを行なう仲間に敬意を示すものでもあります。

  ただの手のひらを合わせる動作ですが、そこに深い意味を感じながら行うと、同じ「合掌」が何だか神聖なものに感じられます。だから、心をこめて、今日もクラスに参加してくださる皆さんに感謝するとともに、自分の生命に感謝し、そして大自然のエネルギーとつながるように、手と手をあわせたいなぁと思います。