ゆうゆう通信No100「シャバアーサナ屍のポーズ」

 皆さんは、クラスの最後に仰向けで横になるシャバアーサナの時間を、どんなふうに過ごしていますか?気持ちがよくて眠ってしまう方、早く終わらないかなぁとじっとしているのが苦痛な方、もしかしたら様々な

感じ方をしているのではないかと思い、今回はこのポーズをテーマとすることにしました。

 実は、ヨガで一番難しいと言われる「シャバアーサナ」。寝ているだけなのになんで一番難しいの?と、疑問に思う方も多いことでしょう。簡単そうで難しい、その理由は、このポーズが、文字通り、生きながらにして「しかばね」となることを目指すからなのです。つまり、この体も、自分が積んできた経験や肩書も、出会った人との思い出も、すべての感覚や思いを一度全て手放さなければならないのです。それは、どんなポーズを行うよりも難しいことだと思いませんか?

 人の一生は、「オギャー」と、この世に生まれ落ちた時に呼吸をするところから始まります。私のヨガクラスも、まず腹式呼吸を意識するところから始まります。そして、人生と同じように、「今」を大切にしながら、様々なポーズに取り組み、最後にシャバアーサナでは一度、死を迎えるのです。すべてのしがらみから解き放たれ、大自然の一部に戻っていきます。そして、シャバアーサナから覚める時は、まっさらな赤ちゃんとして、もう一度世の中に生まれ直します。クラスの流れの中でも、胎児のように体を丸めた後、体を起こし、また呼吸から始まるのです。 

 少しおおげさだなぁと思われるかもしれないのですが、私はシャバアーサナは死と向き合う練習なのではないかとも思うのです。誰にでも等しくおとずれる死。日常は目を背けているけれど、いつも隣にあるということを意識することも、「今を生きる」ために必要なことなのかもしれないなぁと思うのです。そして、それを悲観的にとらえるのではなく、自然な流れの一部として、大きな視点から眺める練習でもあるかもしれません。難しい~。奥が深いです。深すぎます!まぁ堅苦しく考えすぎず、とりあえず、自分をリセットするような時間と考えてみてください。

 更に、このポーズは、短時間でも、究極のリラクゼーションとなり、心身の疲労回復やエネルギー充電ができるといわれています。ただ、体に痛みがある方は、同じ姿勢でじっとしていることが苦痛で、まったくリラックスできないこともあります。そんな時は無理をせず、横向きになる等、少しでもリラックスできる姿勢で行って頂いても構いません。シャバアーサナをどうぞ楽しんでください。