ゆうゆう通信NO98「立ち木のポーズに必要なもの」

 突然ですが質問です。片足立ちの、「立ち木のポーズ」が苦手な方はいませんか?実は私は、このポーズがとても苦手なのです。ヨガを始めた当初は、そもそも片足で立つということが難しく、「なんでできないんだー!」と焦るばかりで、よろよろ、ふらふら。今でも、苦手意識があり、ポーズを維持することはできるものの、「穏やかな呼吸は難しいなぁ」と感じます。そこで、今回は片足立ちをとりあげ、「バランス」ポーズに必要なことを考えてみたいと思います。

 それでは、片足で立つ場面を想像してみてください。その時、片方の股関節はどのぐらいの重さに耐えていると思いますか?なんと、股関節には体重の3倍以上の重さがかかるそうです。50キロの体重なら150キロ以上です。もし股関節を取り巻く筋肉が弱ければ、その重さに耐えきれず、片足で立つことはできません。余談ですが、介護予防のためにも、片足で立てる筋力を保持することはとても重要です。高齢者の通うデイサービスでは、要介護度の指標としても使われるのが片足立ちなのです。つまり、「立ち木のポーズ」には、第一に体幹や下肢の筋力が必要だということです。

 さて、もう一度、片足で立つ場面をイメージしましょう。少しもユラユラせず、びしっと静止できると思いますか?きっと誰もが少しの揺れを調整し続けて、あたかも静止しているように見えているのだと思います。この調整力は、鍛えなければどんどん衰えていくものです。高齢になってもこの調整力を日々の生活の中で(例えば 揺れる船に乗る漁や、足場の悪い山道の農作業等)鍛えられる人もいます。でも現代の通常の生活ではなかなか鍛えられないのが、このバランス調整力です。そして、この力は「立ち木のポーズ」に不可欠です。

 更に私が大事だと思うのは、集中力と精神の安定です。私は、気が散っている時、心が乱れている時はうまく片足立ちができません。そして「絶対に揺らがない」と思えば思うほど、りきんでしまい、かえってバランスをくずし、楽な気持ちで行ったほうがうまくいくこともあります。緊張しすぎてもいけないし、たるんでいてもできない。そんなところが面白いなぁと思うのです。片足立ちには、心のバランスも必要だということです。

 たかが片足立ち、されど片足立ち!「立ち木のポーズ」は私たちに色々なことを教えてくれます。さぁ、片足立ち30秒を目指してやってみましょう。