ゆうゆう通信NO89「マインドフルネスとヨガ」

 最近ますます、メディアでマインドフルネスが取り上げられ、注目されています。そこで、今回は言葉は知っていても、意外に知られていない「マインドフルネス」をテーマとしたいと思います。

 

 さて、それではあえて「マインドフルネス」の反対、「マインドレスネス」からご説明します。「マインドレスネス」とは、「今ここ」に意識がない状態です。例えば、テレビを見ながら食事をとっている時、自分の口に入ったものを味わうのではなく、気持ちがテレビの内容に引き付けられている状態。あるいは、誰かと話しているのに、その人の話をじっくり聞くのではなく、次に何と答えようかと先回りして考えたり、他のことに気をとられていたりする状態です。

 

 私の場合は、ほとんどの時間がそんなマインドレスな状態であることに愕然とします。いつも何かが頭をかけめぐり、「今」という瞬間に身を置いていない。思いはあらぬ方向へとさまよいだし、これからやらなければならないことの段取りを考えていたりするのです。

 

 でも、そんな「今」に自分がいないことに気づくのが「マインドフルネス」です。つまり、マインドレスな状態に気付き、「今」に自分を引き戻す練習が「マインドフルネス」の実践なのです。

 

 そして、ヨガはそもそもマインドフルネスの練習でもあります。「呼吸に意識を向けて」「今、伸びているところを感じ続けて」と、たびたび私は声をかけます。「今」に気づき、「今」にいる状態を少しでも長くキープしたいからです。更に「ゆっくり」という言葉も、何度もお伝えしています。ゆっくり動くことで、手先から足先まで、自分の動きの変化や筋肉の動き、血や気の流れ等、様々な「今」に「繊細に気づく」ことができるからです。

 

 情報化社会に生きる私たちの思考は、休むことなく先へ先へと走り続け、立ち止まることができなくなっています。過剰に走り続ける思考はストレスとなり、心拍数を高め、血圧を上げ、不安感を高め、心身に大きなダメージを与えます。「繊細に気づく」「今に立ち止まる」マインドフルなヨガは、心身ともに疲弊した現代人にこそ、多くの恩恵を与えてくれると思います。