ゆうゆう通信No84「呼吸について」

 日頃は無意識に行っている呼吸。だからこそ、意識をして呼吸すると、りきんでしまい反対に息苦しくなったり、疲れてしまうことはありませんか?ヨガを深めていくと、「今日はうまく呼吸ができないなぁ」と思う日もあります。簡単に見えて、とても難しい呼吸。そこで今回は、ヨガで行う呼吸についてお伝えしようと思います。

 

 まず呼吸という動きを考えてみましょう。「吸う」「吐く」の2つ、これだけです。息を止める「保息」という状態もあるのですが、とにかく難しいことを考えず、この「吸う」「吐く」を穏やかに、リラックスして行う。それがとても重要です。

 

 それではとヨガを始め、呼吸に意識を向けてみる。ところが、慣れないと、そもそも自分の呼吸が今どんな状態なのかよくわからない。呼吸しようと思えば思うほど、自然な呼吸が分からなくなる。緊張すると無意識で呼吸をとめていることもあります。ですから、まずはあまり呼吸をコントロールしようとせずに、「さぁ、今私はどんな呼吸をしているの?」とただただ観察してみることから始めてみて下さい。

 

 そして次にイメージの力を借りて呼吸してみるといいかもしれません。呼吸を自然界とのエネルギー交換としてとらえるのです。つまり、自分の体を小宇宙。大自然を大宇宙と考えます。「吸う」動きは、自分という小さな宇宙に大宇宙のエネルギーが流れ込み、自分が大きくなり、外側が小さく小さくなっていく。「吐く」動きは、自分の内に取り入れたエネルギーが外に出て行き、自分が小さくなり、外側が大きく大きくなるイメージです。そんなふうに呼吸によって、この大自然、大宇宙とエネルギー交換をしながら繋がっているという感覚はとても重要です。

 

 そうは言っても、ポーズのたびに呼吸は乱れ、りきみ、穏やかさから遠ざかっていく。でも、それを「できない」と否定的に思うのではなく、「穏やかな呼吸ができていない」ということがわかるということはすごいことだと思ってほしいのです。なぜなら、周囲を見回してください。大勢の人が忙しい日々に追われ、どれだけ自分が浅い早い呼吸になっているか知ることもできない状況にいます。精神的に不安定になっていたり、心拍数や血圧も上昇しているかもしれません。そんな何もわからない状態ではなく、少しでも自分の状況がわかる状態だからこそ、「うまく呼吸できない自分」が見えるのです。自分の呼吸を知ることは、穏やかではいられない自分がわかるということです。真っ暗闇にほんのり光が差すだけでも、道は開けていくのではないでしょうか。さぁ、今年も深い呼吸とともにヨガを深めていきましょう。